たたらのふるさと吉田の鉄の未来科学館を訪ねる
鉄の未来科学館は島根県雲南市にある近代製鉄をテーマとした博物館です。
館内で特に目を引くのが、18世紀ころに使われたレンガ造りの高炉の模型で、1709年世界で初めてコークス製鉄に成功した「ダービー1世の洋式高炉」の模型や、日本の「たたら」という製鉄法でつかわれた炉「吉田村の菅谷たたら」の模型などが紹介されています。
もともと雲南市にある吉田町は、鎌倉時代に「たたら製鉄」が始まったとされており、日本でも有数のたたら製鉄の貴重な文化遺産が点在しています、この鉄の未来博物館もそういった製鉄文化にちなんだ施設ですが、同地区には 「菅谷たたら山内※」や、たたら製鉄の歴史や技術、それに使われていた道具などの展示がされている「鉄の歴史博物館」と3つの見どころがありますので、興味のある方はあわせてご覧になるとよいでしょう。
※たたら製鉄に従事していた人達の職場や、住んでいた地区を総称して山内(さんない)と言います


自然が生んだ製鉄の町
雲南市吉田町は、豊富な森林資源と、鉄の原料である砂鉄に恵まれており、古来より製鉄を行うのに最適の環境であったといわれます。
決して有名な観光スポットとは言えないような場所と思っていたのですが、かつての貴重な文化遺産を保護し、ていねいに紹介されていることに驚きを感じました。


世界初の製鉄炉はこんなだった!?
この博物館は、たたらだけでなく、西洋の製鉄についても紹介されているのが特色で、18世紀初めにイギリスの「コールブルックデール」という場所で建設された世界初のコークス高炉の模型の展示があります。
それまで、製鉄は木炭を燃料としていましたが、石炭を蒸し焼きにした「コークス」を燃料とすることにより、より高品質の鉄製品が作られるようになりました。
そして、鉄の生産量が大幅に増えたことと、蒸気機関による動力が発明されたことで、イギリスの産業革命の引き金となりました。


もちろん「たたら」の精巧な製鉄炉の模型も展示
一方こちらは日本のたたらで使われていた製鉄炉です。これが何世紀ころのものか確認し忘れましたが、イギリスのレンガ造りの炉とは対照的です。しかし、製鉄の際の送風には「ふいご」が使われていたそうで、この辺りの構造は洋の東西を問わないのだなと感じました。
ちなみにコールブルックデールのコークス高炉はふいごの動力に水車が使われていたそうですよ。




あわせて文化財指定の「菅谷たたら山内」の見学も
巨大な高炉の模型以外には、鉄鉱石や、製鉄にまつわる展示品が紹介されていました。今回は「菅谷たたら山内」を見学する時間がなかったのが残念でしたが、そちらのほうもいずれ訪れてみたいと思います。
※最後の写真2枚は、菅谷たたら山内の風景と菅谷高殿(中世以降の製鉄所、国の重要民俗文化財指定)です。