もくじ
ついに購入した防湿庫「ハクバのKED-60」を徹底的にレビューしてみます
フォトグラファーのみなさん、こんにちは!
写真にかけていえば、全く初心者の域を出られないわたくしですが、最近順調に?カメラ機材も増えてまいりました。
これまで手持ちのプラスチックケース製の除湿ボックスでは容量不足のため、新たに防湿庫を購入いたしました。
今回の記事は、カメラ機材メーカーとしては有名な「ハクバの防湿庫」の性能レビューとなります。
これから防湿庫を買ってみたいけど、実際の性能はどうなん?と思われてる方にはご参考になるかもしれませんので、よろしければお付き合いのほどお願いいたします。
まず今回購入したモデルのご紹介ですが「ハクバのKED-60」というモデルです。
このKED-60は、容量60リットルあり、一般的な一眼レフ2台とレンズ8本、コンデジ1台を入れてもまだまだ余裕があります。
ハクバの防湿庫KEDシリーズバリエーション
私は機材の量から60リットルもあれば十分だったのですが、KEDシリーズのサイズはバリエーション豊富です。保管する機材の量に応じて、検討してみてください。
機種名 | 価格 | 商品画像 | 容量 | 外形寸法 |
---|---|---|---|---|
KED85 | ¥9,980 | 20L | W400×H280×D272mm | |
KED-25 | ¥16,664 | 25L | W358×H270×D295mm | |
KED-40 | ¥20,864 | 40L | W358×H400×D315mm | |
KED-60 | ¥25,082 | 60L | W358×H590×D315mm | |
KED-85W | ¥34,800 | 85L | W578×H460×D345mm | |
KED-100 | ¥25,545 | 100L | W358×H990×D315mm | |
KED-130 | ¥49,800 | 128L | W456×H830×D350mm |
説明書のスペック
まずは説明書にあるスペックを見てみましょう
ハクバ電子防湿保管庫 Eドライボックス KED-60
内径寸法 | W356xD310xH550 |
---|---|
外形寸法 | W358xD315xH590 |
重量 | 約12kg |
除湿方式 | 乾燥剤除湿方式 |
キャビネット | スチール製 粉体塗装:黒 |
扉 | 強化ガラス、マグネット式ガスケット |
定格消費電力 | 20W |
除湿方式について
このスペック表の中で聞きなれない言葉があります。「除湿方式」です。防湿庫を選ぶ際に必ず出てくるのがこの除湿方式で、初めて聞くとどちらを選べばいいのか気になるところですよね。
除湿方式は、主に次の二つの方式に分かれています。
乾燥剤除湿方式は、その名の通り庫内に乾燥剤を備えたユニットが装着されており、乾燥剤を加熱、湿気を気化させることにより、湿度をコントロールします。
メリット
乾燥剤を加熱する装置のみなので構造が簡単、壊れにくい
消費電力が低い
デメリット
急激な湿度の上昇に弱い(ゆっくりと時間をかけながら湿度を下げていく)
これについては、時間経過における除湿効果についてデータを取る実験をしましたので後述しています。
ペルチェ素子除湿方式とは、冷熱作用のあるペルチェ素子を用い、庫内の湿気を冷却することで水分に凝縮されることで湿度を管理するものです。
メリット
比較的短時間で湿度を下げることができる
デメリット
ペルチェ素子に寿命がある
消費電力が高い
以上の事から、よほどの理由がない限りは費用対効果の高い「乾燥剤除湿方式を選んで大丈夫ではないかと思います。ちなみにハクバのKEDシリーズはすべて乾燥剤除湿方式となります。
実際のサイズ感
次に、実際の製品のサイズを測ってみましたのでご覧ください。
外寸高さ
まず外寸高さについてです。この製品には本体底部にゴム製のキャスターがついているのですが、説明書やカタログ記載の高さはおそらくこのキャスター抜きの高さだと思われるんです。
キャスター込みの実際の高さは約60.85センチほどです。
キャスターは最初からつけられているし、取り外して使うものでもないので、この59センチとの説明書表記はいただけませんね。
限られたスペースに設置を考えておられる方は要注意です。
外寸幅
幅は説明書通り約35.8センチでした。
奥行き、これも注意です、除湿ユニットの出っ張りがあり、設置する際は説明書の31.5センチではなくて、約35センチくらいのスペースを必要とします。
デザインもいいし細部まで考えた造りこみがされているぞ
次に構造とデザインです。このKED-60は、内部が3段構造になっていて棚板が2枚設置できるようになっています。しかも棚板は高さを調節できるので、機材に合った空間を確保できます。
これが高さを細かく調整できる棚板の受け、真ん中にビスがあり棚板が不意に手前に突出しないように対策が施してあります。
また、機材が金属の棚板に直接触れぬよう、クッションも付属していました。この素材は好みがわかれるところかもしれません、PVCのような素材です。
外観ですが、上部側面はブラックのスチール素材、ツルツルではなく粉体塗装という小さなザラメの加工がしているのでチープ感なく、重厚感があってよいです。
天板と側面の様子。部屋の見えるところに置いておいても安っぽい質感は全くありません。
前面扉は、スチール枠にガラスがはめ込まれていますが、庫内がブラック色のため、前面ガラスも黒っぽく見え、非常に落ち着いた(渋めの?)印象を与えます。
また、うっすらとスモークのかかった強化ガラスの向こうに見える「機材のディスプレイ効果」もあり、防湿庫が目に触れる度に満足感を与えてくれます。
扉左中央にはカギ穴があり、付属のカギが2本ついてきます。このカギは防犯というより子供さんのいたずら防止あたりが目的となるでしょうか・・・
渋めのカラーの防湿庫の扉を開き、カメラを取り出す時の所有感は、プラスチックケースの防湿ケースでは得られない感覚です。
KED-60の中身、除湿ユニット
次に本体内部を見ていきます。庫内背面上部についているのが除湿ユニットです。
この裏側にAC100Vを入力します。
某通販サイトレビューにこのユニットが「熱くなる」といったレビューがありましたが、私のKED-60は除湿作動中ほんのり温まる程度で、気になる程の温度上昇はありませんでした。
そして、除湿ユニットには除湿力の調整ツマミが付いており、右に一杯に回すとパワーが最大になります。
ちなみにAC電源のコード長は140cmです。一般的な3ピンソケットなので、もし使用環境で短ければ長いものに変更することもできそうです。
ハクバの防湿庫KED-60の実力性能チェック
これまで触れてきました通り、KED-60は防湿庫として非常に使い勝手の良いサイズと部屋に置いておいてもサマになるデザイン、電力消費量からみたランニングコストも非常に優れており、最初に選ぶべき防湿庫としては「コイツをチョイスしてよかった」というのが感想なのですが、肝心なのはキチンと除湿ができているかということです。
デザインは納得いくものでも、除湿性能が良くなければ元も子もありませんものね・・・ちなみに扉のパッキンはしっかりしており、内部の密閉度は高いように見えますが果たして・・・。
防湿庫内の湿度は一定ではない
今まではプラスチックケースのドライボックスを使用していたのですが、「ボックス内の実際の湿度はどのくらいなのか」などあまり気にすることはありませんでした。
とりあえず入れときゃ大丈夫だろうといった感覚だったんです。
KED-60にはドア左上に湿度計がついています。実際に防湿庫を使ってみると、当たり前なのですがドアを開けて極力すぐ閉めたとしても、庫内の湿度は上がります、それから、室内の気温の高低、天候、季節、室内の湿度の影響を非常に受けやすいことがわかりました。
この湿度計は、防湿庫のレビュー写真撮影のため扉を長時間開けた状態のものです。
梅雨で雨天が続く最悪のコンディションの中だったのですが、扉を開けっぱなしにすると、みるみる湿度が上がっていくのがわかります!
こうなると、防湿庫内の湿度がどのように変化していくのか気になるところです。そしてその変化をモニタリングすると防湿庫の防湿性能がハッキリするのではないかと・・・
そこで、KED-60の庫内の湿度を定時にモニタリングして、データ抽出を行う調査を行ってみました。
測定方法
測定方法はセンサー類を用いて厳密に行いました。防湿庫内に入る大きさのシングルボードコンピュータにセンサ類を組み込み、一時間ごとにファイルに書き込みするようにプログラミングしました。
こんなデータ取りは今後も誰もしないと思います、たぶん・・・。ですので、ハクバの防湿庫の導入を検討しておられる方は貴重な情報としてお役に立てばと思います。
測定に用いる機器
測定に使用するのはコイツ、超小型のオンボードPCのRaspberryPi Zero Wです。
このサイズながらWifiを備えUSB機器の使用やHDMIで画面出力もできます。
測定中防湿庫の扉を開けると正しい測定値が得られませんので、測定値はWifiを通してメインのデスクトップPCからSSHでリモート接続して確認します。
湿度・温度センサー
センサーは精度に定評のあるボッシュ社のBM280というセンサーモジュールを使用します。
電源
なお、外部から電源を取ると、扉にコードを挟み込むことになり、わずかな隙間ができてしまうので、電源にはモバイルバッテリー(5V 20,000mAh)を利用します。
20,000mAh / 1000 = 20Ah
20Ah x 5V =100Wh
100Wh / 0.75Wh = 133.333h = 5.5日
RaspberryPi Zero Wの消費電力は0.75wとされているようなので、5日以上は稼働できる計算です。
測定の誤差
なお、測定機器の若干の発熱が防湿庫内の湿度に影響を与えるかもしれませんが、そこは誤差と認知することとします。
測定条件
測定開始前扉を15分以上開放して室内の湿度と庫内の湿度を同じにした状態から、1時間おきに庫内の湿度がどのように変化していったかを測定します。
測定中は扉の開閉は一切しないこととします。
1回目 湿度コントロール設定 低
経過 | 気温(℃) | 湿度(%) | 気圧(hPa) |
測定開始時 | 28.49 | 56.43 | 1010.33 |
1時間後 | 25.95 | 44.04 | 1009.87 |
2時間後 | 26.31 | 44.17 | 1009.97 |
3時間後 | 26.76 | 38.32 | 1009.62 |
4時間後 | 26.89 | 38.53 | 1009.90 |
5時間後 | 26.94 | 39.37 | 1009.95 |
6時間後 | 26.94 | 39.41 | 1009.83 |
7時間後 | 27.08 | 39.52 | 1010.20 |
8時間後 | 27.03 | 35.68 | 1010.24 |
9時間後 | 27.03 | 36.33 | 1009.93 |
10時間後 | 27.18 | 37.20 | 1009.61 |
11時間後 | 27.08 | 37.44 | 1009.26 |
12時間後 | 27.10 | 38.30 | 1008.45 |
13時間後 | 26.95 | 35.05 | 1007.26 |
14時間後 | 27.05 | 34.98 | 1006.22 |
15時間後 | 27.12 | 36.20 | 1005.72 |
16時間後 | 27.17 | 36.65 | 1005.33 |
まずは初回測定です。
約3時間程度で大幅に湿度を下げた後は、ほぼ湿度30%台に落ち着きました。
ただし、34.98%を記録したのちは、これ以上下がることはないようです。
たぶんこの数値が限界なのでしょうがここまで下がれば防湿効果は十分と見ます。
2回目以降の記録は取り次第アップしていきます。
結論-ked-60の基本的な防湿性能は問題ナシ
もう数字を見ればお分かりですよね、もはやこれがKED-60の性能の全てです。
この防湿庫のデザイン性や部屋にしなやかに溶け込むような素材感、また価格的に見ても非の打ち所がない製品だと思いますが、皆さんはいかが感じられたでしょうか。
ただし、弱点がないわけではありません。
扉の開閉で庫内の湿度が急激に上昇する
今回のレビュー撮影でいつも以上に防湿庫を開閉したのですが、扉を開けると庫内はすぐに室内の湿度と同じになります。
そこから期待する湿度まで下がるのには、実験の通り3時間はかかります。
ですので、機材のしまい込みと取り出しは、極力少なめの時間で手早く行ったほうがいいのは間違いなさそうです。
カビ対策は別途やったほうがいい!
それから、防湿庫があればもう湿気から機材が守られると思ったらそういうわけではなく、カビ対策は必要です。
そう、防湿庫はあくまで湿気対策なんですね、乾燥していればカビは発生しにくくはなりますが、低湿度下で増殖するカビもあるといわれています。
そのため、防湿庫には「防カビ剤」の併用が必須となります。
ハクバ防湿庫KED-60価格とおススメの購入方法
最後に購入ですが、KED-60はamazonの防湿庫のカテゴリーで「ベストセラー」の表示がある程売れ筋モデルです。
さらに10%ほどの割引クーポンがあったりしますので価格的にも最安値ランクです。
私が購入した時はクーポン割引を入れて約2万円ちょっとでしたが、時期により変動があるみたいです。
まずはamazonで価格をチェックしてみてください。
以上、ハクバ防湿庫KED-60のレビューをお送りしましたが、見た目の上質さと数値が裏付ける性能の良さも秀でています。
カメラを本格的に趣味にされている方から、プラケースのドライボックスをお使いの方まで、本格的な防湿庫を検討されているなら、価格の面からもハクバKED-60はベストなチョイスになるでしょう。