ミツマタとは?
毎年春先に楽しめる花のひとつに「ミツマタ」というのがあります。
ミツマタとは、古くは和紙の原材料として日本各地で栽培されてきましたが、現在では利用されることもなくなり、放棄された栽培地も多いそうです。
しかし、そう簡単には枯死しない木ですので、現在も産地跡では3月中旬頃から黄色いきれいな花を咲かせ続けています。
そんなミツマタの花ですが、広島県では安芸高田市に群生地があります。
山口県美祢市のミツマタ群生地
そして、今回ご紹介するのは山口県美祢市にあるミツマタの群生地です。
こちらの群生地は面積的には広島の群生地よりもはるかに広大で、栽培地には至る所で石垣が見られ、商品作物としてミツマタが栽培されてきたことがうかがえます。
場所は秋芳洞で有名な山口県美祢市秋芳町にあります。付近には「別府弁天池」という観光名所もあります。
ミツマタ群生地は「花尾山」という標高669mの山頂に登るルートの途中にありますので、今回はミツマタを見たのち、山頂までのぼってみたいと思います。
県道31号線から「花尾山」の看板を目印に細い道に入ります。
気になる道路事情-普通のクルマでも大丈夫
田んぼが広がるあぜ道を進みますと、次第に未舗装の山道になっていきます。
事前に調べた範囲では「対向車が来ると大変」「悪路で車の底を擦る」「四駆でないとムリ」などの情報があり不安でしたが、※実際はそこまでの悪道ではなく安心しました。
※具体的に言うと、離合不可能かつガードレールがなく路肩が崖の山道を数十mほど下がって離合するのが大丈夫なら問題ないレベルの道です。路面は所々えぐれている部分はあるものの、車輪の底が当たってしまうほどのものではなかったです。
クルマは写真のすこし広くなっているところに駐車しました、4台ほど駐車できるスペースです。これより奥にもいくつか駐車可能そうなスペースはあります。
ここからは徒歩で進みます。途中にある池は「多々良池」朝靄の中、青緑に輝く湖面に反射する木々が幻想的でした。
付近では藪ツバキがいたるところで花を咲かせています。ちょうどこの時期はツバキの最盛期で、同じ山口県の笠山ではツバキの原生林を見ることができるんです。
青緑色に輝く多々良池、そういえば、この花尾山付近には古くは鉱山も点在しており、たたら製鉄遺跡も存在するのだとか。(花尾山の北側の登山ルートにも「鈩(たたら)コース」というのがあるみたい。)
多々良池を過ぎ、やがて左手に川を見ながら林道を遡上します。
遠くにミツマタの花を発見。ミツマタの群生地にたどり着いたようです。
いつ見ても幻想的だ!
虫居谷のミツマタ(安芸高田市)も川沿いに群落を形成していたので、ミツマタの生育には川が好条件なのかもしれないな。
朝霧に包まれた森林の中、杉の香りが立ち込めます。
杉の大木が入りまじる深い森の中にイエローのじゅうたんを敷き詰めたかのようなこの光景。
こんな雰囲気のミツマタが見れたのは時間と天候が味方したのかもしれません。
しばらくミツマタを眺めた後は花尾山の山頂を目指します。
ミツマタ群生地を抜けていくとまた林道が続き「花尾山登山口」の看板が現れます。
この山、最初はちょっと手ごわいです。急登に加え杉の落ち葉&下は粘土質で滑りやすいです。ありがたいことにロープがかなりの区間で張ってありました。
急坂が続いた後分岐点に設けられたベンチ、ここから先は比較的緩やかな尾根伝いにでます。
分岐点から見える花尾山山頂。
尾根伝いにでますと日当たりもよくなり再びツバキがよくみられるようになります。
視界が開けてきました。麓は雲海に包まれているようです。
ラストスパートはあと100m!
花尾山山頂です。標高669m。天気の良い日には瀬戸内海や九州の国東半島、由布岳等を見ることができるともいいます。
今日は遠くは見えませんが、それ以上に雲海がキレイでした。
花尾山にはほかにも種々のルートがあります。今回は南側から登る「別所ルート」となります。
記帳ボックス、記させていただきました。
山頂付近、鹿の気配がするなと思っていたら、鹿の成獣が目の前を横切って藪に姿を消しました。地元の山ではあまり見ないので珍しい遭遇でした。
帰り際、だいぶ日が上がっていましたので、また違ったミツマタの雰囲気を楽しめました。
個人的には薄闇に浮かび上がるようなミツマタが好きですが、こういった明るい雰囲気もいいかもしれませんね。
オレンジがかった黄色い花はなんだか元気が湧いてくるような色です。
以上、山口県美祢市のミツマタの群生地のご紹介でした。