もくじ
黒部ダムにも匹敵する巨大ダム
温井ダムは広島市の北部、安芸太田町に位置する巨大なダムで、その高さは156メートルもあります。
日本最大の黒部ダムの186メートルという高さに匹敵し、そのスケールは中国地方に存在するダムと比較してもケタ違いです。
温井ダムは、昭和52年に建設着手され、完成は平成14年、国内のダムとしては比較的新しく、最新の技術、設備が詰め込まれています。
それだけ大規模なダムなので、見学設備や周辺の観光設備(公園・温泉施設など)も整っており、広島市内から車で1時間ほどで行くことのできる、隠れた観光名所です。
秋には紅葉も楽しめます
温井ダムのダム湖である「龍姫湖」。この辺の山々は、広葉樹が多く、初夏や晩秋には新緑、紅葉と四季折々の自然美も楽しめます。
「龍姫湖」という名前は、古来から伝わる「大蛇の物語」がその由来だとか。
ダムを間近から見学しよう
温井ダムで是非お勧めしたいのがダムを間近から眺められる見学コースです。 見学の入り口は、幹線道路からダムの突堤を渡った先にある「温井ダム管理所」にあります。
駐車場ですが、ダムの突堤の手前(国道側)と向こう側(温井ダム管理所)それぞれにあります。
管理所側の駐車場のほうが駐車台数は少ないですが、ダム直下へは管理所に設置されているエレベーターからおりますので、混雑時でなければ、そのまま車で温井ダム管理所側まで行ったほうがよいでしょう。
徒歩で渡ることもできます
この堤部分は徒歩でも移動できます。紅葉の季節には意外と歩いて渡る方も多くおられました。ダムのスケールを体感したい方はぜひ!
温井ダム管理所からエレベーターで見学トンネルへ
温井ダム管理所、次の写真でいうと右端あたりに、ダム直下へ続くトンネルに降下するエレベーターが設置されています。
ダムの見学トンネルは「温井ダム管理所」の地下120メートルに位置するため、そこまでこのエレベーターで降下します。
ものの30秒ほどで120メートル地下へとおりました。写真は地下側のエレベータです。
ここからはコンクリートでできた地下空間が広がります。
地下トンネルの気温は大体10度前後(訪れたのは3月下旬)夏場だとその気温差はもっと大きくなり、涼しいくらいなんだそうです。
このようなトンネル状の通路が200メートルほど続きます。
ここを通ってダム直下の広場まで出られます。
トンネルの途中には、ダム建設の歴史、周辺に生息している動植物の紹介などのパネルが展示されています。
これは温井ダムの地底部分の岩盤だそうです。そっと手を触れてみよう。
ダムの下流部分に到着、やっぱりデカイ!
トンネルを出ると「思い出広場温井156」というダムを下から見上げられる広場に出ます。
温井ダムは、下から見上げると、形状がアーチ状なので、迫ってくる感じでより巨大に感じられます。
温井ダムの放流について
利水放流
実は、放流といってもその目的に合わせて何通りかあるようで、普段行われているのは「利水放流」といって、平常時に毎秒3㎥から9㎥の水を下流へと放流します。
こちらが利水放流の様子。結構な轟音と水しぶきがあがっていました。
中位標高放流
これは、洪水時に60㎥までの放流を行うもの、この設備は国内のダムでも数えるほどしかついていない珍しい放流設備。 このあとにご紹介するのは、この「中位標高放流」の時の様子です。
コンジットゲート
これはダムの下の部分に設けられたゲートで、洪水時に毎秒60㎥、最大でなんと毎秒1,100㎥の放流を行うものです。
グレストゲート
ダムの上部に付いている放流口をグレストゲートと呼び、コンジットゲートでも放流が間に合わないほどの洪水時に使用されます。
「非常用洪水吐」ともいう設備で、毎秒2,000㎥の放流能力があります。
大迫力!春にはダムの放水が見れます
春の季節には、梅雨や台風にそなえて、あらかじめダム水位を下げる目的で、放水が行われます。
毎年4月中旬から5月末頃にかけて定期的に放水が行われるので、ぜひ時間を合わせて見に行ってみましょう。
詳しい放水のスケジュールは次のサイトをご確認ください。
2020年の放流予定日が掲載されました!
貴重!温井ダム放水時の様子
中標高放流は次の写真でいうと真ん中の丸い形をしたバルブ2か所から放水されます。
今回の放流は14時から15分間行われましたが、途中からどんどん水の勢いが増していきあたりは土砂降りのようになっていました。
遠く離れると若干水しぶきが和らぎますが、それでも小雨よりちょっと強いくらいの雨のようになっていました。
ですので、見学される方は濡れてもいい恰好で行かれるほうが良いと思います。
こんな感じになります・・
いったん落ちてきた水がバウンドして向こうに飛んでいきます。
平日の昼間でしたが、見学者はざっと100人くらい・・・
Youtubeにも動画を上げています。
轟音とともに放流される温井ダムの様子をぜひご覧ください。
温井ダム管理所の資料室も見てみよう
ダム管理所内の3Fには、ダム資料室があり、周囲の模型やダムに関する様々なデータ、資料が紹介されています。
見学料などはありませんでしたので、ダムの見学が終わったらぜひ見てみよう!
また、建物の屋上は展望デッキになっていて、遠くの景色まで見渡せるようになっています。
子どもさん向けの遊具広場もあり
温井ダム管理所のある対岸(国道をはさんだ向こう側)には、遊具広場や芝生の広場があり、家族連れにはおススメのスポットです。
この広場は、ダムからは少し離れていますが、ダム建設時にコンクリートの機械や設備の土台のあった場所で、その跡地を整備して造られたそうです。
長い滑り台などの複合遊具があり、ダムをモチーフとしたデザインになっています。
今回はダム見学をして遊具広場で少し遊びましたが、すぐに1時間ほど経過・・・
ダムの近くには「温井スプリングス(レストラン・温泉施設)」があったり、今や有名なダムではおなじみの「ダムカレー」が近くのレストラン「トレタモンtoretamon)」にていただけたり、周辺にもいろいろ見どころがありますので、ぜひ訪ねてみてくださいね!
追記:秋の温井ダムの様子
温井ダムは秋にも紅葉の名所として人気が高い場所です。運よく放水の様子も見ることができましたので、その様子もご紹介してみます。
まずは、温井ダムから上流に車で5分ほど行ったところに「猪山展望台」という場所があります。ここからは温井ダムの龍姫湖が北側から一望できます。
あまり知られていませんが、赤い橋の向こうに広がる紅葉と龍姫湖の風景が大変よくマッチするビューポイントです。
そして温井ダムの国道側のほうの駐車場に車を置き・・・
ここから今回は突堤部分を歩いて渡ることにしました。
ダムのちょうど真ん中から下流方面をみると・・・すごい高さ!
子どもさん連れの方はくれぐれもご用心をっ!
ダム管理棟付近のカエデがきれいに色づいていました。
湖面にきらめく秋の紅葉。いや~美しい。
管理棟向かって右側の広場から、放水のシャッターチャンスを狙います。
放水まで待つこと約20分・・・
やっぱり大迫力です。
だんだんと水しぶきも大きくなり・・
なんと156メートルも上まで水しぶきが上がってきます!濡れるほどではありませんが、水しぶきが時々かかるのがわかるほどです。
周囲の紅葉をバックに・・・
下流側、まるで湯気のように煙が上がっているような光景です。
以上秋の紅葉シーズンの温井ダムの様子についてのご紹介でした。