4,000年前の古代の森が現代によみがえる
縄文時代の森が現代まで残っているとしたら、それは驚くべきことかもしれません。一目でもその森の痕跡を見てみたいと思った方は「小豆原埋没林公園」はとってもおススメの公園です。
小豆原埋没林公園は島根県にある三瓶山の北麓にあり、約4000年前の縄文の森の木が火山灰などの堆積物とともに埋もれていたことにより、当時の原形をとどめてそのまま残されました。
発掘された縄文時代の森の木々は、立派な建物の地下に静かに保存、展示されています。
三瓶小豆原埋没林公園
住所 | 島根県大田市三瓶町多根口58-2 |
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開園時間 | 午前9:00~午後5:00 |
休園日 | 12月第1月曜日から金曜日の5日間 年末年始(12/27~1/1) |
観覧料 | 大人300円 小中学生100円 三瓶自然館サヒメルの当日レシートで半額(2019年8月現在) |
三瓶小豆原埋没林公園の主な見どころ
埋没林はその名の通り、地表から埋もれた場所にありますので、この地下空間に展示室が広がっています。
おもな見どころは
- メインの展示棟になる「縄文の森発掘保存展示棟」
- 複数の木が合わさった「合体木根株展示棟」
- 地上に露出していた根株の展示(屋外)
- 古代ハス田の展示
などがあります。
それではひとつづつご紹介してみたいと思います。
縄文の森発掘保存展示棟
まずメインの展示棟から・・・
入口を入ると、地下に向かって階段がらせん状に続いています。壁際にはいろいろな解説があるので読んでいくと埋没林の成り立ちがよくわかるようになっています。
地下3メートル付近では、火山灰が堆積してできた地層が広がり始めます。
さらに階段を降りていき・・・
いよいよ最深部にたどり着きました。深さは現在の地上部分から10m下になります。
ここが4,000年前の三瓶山の噴火により、埋没した縄文の森です。
木々は大きいもので高さ12メートル、根回りは10メートルを超えます。
間近で見ると、樹の皮の部分までしっかりとその原型をとどめています。
しっかりと年輪の刻まれた樹の断面。
4,000年もの間、地中で静かに眠っていた。火山の噴火がなければとっくの昔に朽ち果てていた巨木も、今こうして目の前にすることができる、いわば自然のタイムカプセルになっているんです。
合体木根株展示棟
公園内ふたつめの展示棟「合体木根株展示棟」です。
こちらには、三瓶自然館サヒメルに展示されている埋没樹の根株が展示されています。
この展示棟は縦に細長い形状で、連続するらせん階段を降りていく特徴的な構造をしています。
地下部分にある杉の根株です。この杉は、約4,400年前に倒木の上で芽生え400年かけて成長したというもの。根っこ部分が二股に分かれ、特徴的な形をしています。
根株のそばにある土壌は「古土壌」といって、縄文時代の土壌がそのままの状態で埋もれていたということです。
ここからは、古代の種子や、花粉、昆虫の羽などがたくさん見つかり、当時の自然環境を知る手掛かりになりました。
地上に露出していた埋没樹の根株
この根株は屋外に展示されているもので、発見された埋没樹の中でも一番高い位置に生えていたものです。
根元だけが堆積物に被われることで残され、堆積物から露出していた上の部分は朽ちて失われています。
古代ハス田
以前「荒神谷史跡公園」でもご紹介した「古代ハス」が小豆原埋没林公園にもありました。大きさは荒神谷のものほどではありませんが、千葉県の2,000年前の地層から発見された古代ハスの子孫です。
2,000年ハスは「大賀ハス」ともよばれ、千葉県の遺跡から2,000年前のハスの種子を発見した島根県大田市出身の大賀博士に由来します。
時期は外れていましたが、花を咲かせている株がありました。
以上、小豆原埋没林公園のご紹介でしたが、先ほども触れた通り、三瓶自然館サヒメルでも埋没樹の展示がありますので、そちらも見学されるとよいでしょう。
三瓶自然館サヒメルの当日レシートで、小豆原埋没林公園の入館料が半額(2019年8月現在)になりますので、そちらもぜひ活用してみてください。